水銀灯・蛍光灯は生産終了、加速する国内のLED移行と入札
現在、家電量販店の照明器具売り場ではLED照明の販売が主となっていますが、公共施設の照明器具や信号機、街路灯などもLED照明が多く見かけられるようになったのではないでしょうか。
入札王データベースで「LED」「蛍光灯」「水銀灯」というワードを検索すると、それらに係る案件が2019年から2021年にかけて増加傾向にあります。その理由として、2020年末に「水銀灯」と「蛍光灯」の生産が終了したことが関連していると考えられます。
水銀灯の生産終了
水銀灯は高圧水銀蒸気中のアーク放電から放射する光を利用したランプで、大出力を得られることや寿命が長いことから道路や公園などの屋外や、体育館の照明等に多く使われています。
しかし、水銀は生物の神経系に悪影響を与える物質として長く問題視されており、削減に向けた「水俣条約」によって一定含有量以上の水銀添加製品の製造・輸出入が2020年までに禁止されることになりました。それによって“一般照明用の高圧水銀灯”は2021年以降、日本国内での製造や海外からの輸入ができなくなったのです。
【参考】
水俣条約について
「水銀に関する水俣条約」について-環境省
蛍光灯の生産終了
LEDが普及する以前は照明器具の主流であった蛍光灯も、2020年末までにすべてのメーカーが生産を終了しました。蛍光灯は水銀灯同様に水銀を含みますが、「水俣条約」においては封入量の規制に留まり、製造禁止の対象ではありません。蛍光灯の生産終了は、省エネルギーの観点によるものです。
2011年の東日本大震災以降、日本国内では電力不足などから省電力への意識が高まり、LED照明が急速に普及します。LEDの発光効率は蛍光灯の1.3倍とされ、理論上は2倍の発光効率も実現可能とのことから移行が推奨されました。
そして2012年に閣議決定された「新成長戦略」「エネルギー基本計画」において“高効率照明(例:LED照明、有機EL照明)を2020年までにフローで100%、2030年までにストックで100%の普及”を目標に掲げられます。フローとは出荷、ストックは設置を意味し、これによって蛍光灯は2020年末で生産が終了されることとなり、2030年には日本国内のすべての照明器具が「高効率照明」となることを政府は目指しています。
※なお、この目標によりメーカーが生産を終了させたのは“蛍光灯照明器具”であり、交換用の“蛍光管”は現在(2021年5月時点)も出荷されています。
【参考】
エネルギー基本計画について
照明市場の展開-経済産業省 (リンク切れ)
LED移行に係る入札案件
前述した理由から、日本国内ではLED照明への移行が進んでいます。
それでは、現在公示されており入札王のデータベースから確認できる“LED移行に係る入札案件”をご紹介します。
件名:宇治ベンチャー企業育成工場LED照明交換業務委託
入札方式:簡易公募型指名競争入札
発注機関:宇治市
入札日(締切日):2021年5月27日
リンク:案件ページ (リンク切れ)
件名:警察学校体育館照明LED化工事設計監理委託 IRE-3
入札方式:一般競争入札
発注機関:秋田県
入札日(締切日):2021年5月18日
リンク:案件ページ
※リンク先の「秋田県電子入札システム」で案件名等のキーワードを入力すると案件が確認できます。
これらは施設の照明を水銀灯からLEDに交換する工事に係る業務の案件です。やはり水銀灯を使用している施設は体育館や工場といった、天井の高い施設が多くみられます。
件名:京都市区役所・支所総合庁舎及び出張所照明設備LED化簡易型ESCO事業(その1)
入札方式:公募型プロポーザル方式
発注機関:京都市
入札日(締切日):2021年7月2日
リンク:案件ページ
「ESCO事業」とは、光熱水費等エネルギー関連の経費削減を行い、その削減実績から対価を得るビジネス形態のこと。この案件では、前述した「エネルギー基本計画」が掲げられ、京都市の区役所ほか計24施設の照明のLED化とそれによるエネルギー消費量の削減に関する業務が求められています。
いかがでしたでしょうか。
今回のテーマである照明の移行に限らず、時代の変化によって必要とされるものは移り変わります。その変化に合わせていち早く新しい情報をキャッチし、時代に順応することがビジネスの成功にもつながるのではないでしょうか。
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