入札市場に参入したい企業向け、知っておきたい入札方式の種類と注意点
ひとくちに入札といっても、実はさまざまな種類の方式があるのはご存知でしょうか?
入札方式の条件によっては、全ての企業が参加できない案件もあるため、入札に参加する際にはこれらをよく知っておく必要があります。
今回は、その種類と、それぞれの注意点について解説していきましょう。
1.一般競争入札
▶一般競争入札
「一般競争入札」は、案件の概要等が広く公示され、不特定多数の企業が参加できる競争入札です。
日本の公的機関における契約は一般競争入札が原則とされており、現在の入札案件で最も多くの割合を占めています。
入札への参加資格さえあれば参加できることから、間口の広い方式と言えるでしょう。
▶公募型競争入札
「公募型競争入札」は、入札への参加資格のほか、案件において定められた資格を有する企業のみが参加できる競争入札です。
資格を有する企業は参加表明書を提出し、そこから選別された業者により競争入札をおこなう入札方式となっています。
競争入札となる案件では、
・物件の売却(不動産競売など)⇒最高価格
・工事、物品の調達、役務⇒最低価格
を提示した業者を落札者とすることが基本となります。
しかし、案件によっては以下のような制度があり、価格による自動落札にならない場合もあります。
▶低入札価格調査制度
低入札価格調査制度とは、工事や製造その他の契約において、
・最低価格での申し込みがあったが、その価格では適切に契約内容が履行されないおそれがある
・最低価格を提示した業者と契約を締結した際、公正な取引の秩序を乱すおそれがある
これらに該当する場合には、最低価格の次に低い価格で申し込みした業者を落札者とする制度です。
▶最低制限価格制度
最低制限価格制度とは、工事や製造その他の契約において、契約の履行のために必要であると判断した場合に、落札価格にあらかじめ最低制限価格を設ける制度です。
予定価格を下回り、かつ最低制限価格を上回った入札額のなかでの最低価格を提示した業者が落札者となります。
なお、低入札価格調査における調査基準価格や最低制限価格は、事前公表はほぼされていません。
価格の算出方法も随時改訂されているため、各省庁や自治体のHP等で確認しておく必要があるでしょう。
▶総合評価
総合評価とは、競争入札の参加希望者に提案書等を求め、技術・性能と入札価格を総合的に評価する方式です。
総合評価には、技術点を入札金額で除する「除算方式」と技術点と価格点の得点を合算する「加算方式」があります。
2.指名競争入札
▶指名競争入札
「指名競争入札」では、発注機関が資力や信用等から認める特定多数の企業を指名し、そのなかで競争入札をおこないます。
広く公告はされず、指名された事業者に入札の日時等の必要事項が通知されるかたちとなります。
日本の官公庁における契約は一般競争入札が原則とされていますが、以下の場合においては例外となり、指名競争契約の方式を採用することになります。
・契約の性質または目的により、競争に加わる者が少数であり一般競争とする必要のない場合
・不利な契約や不誠実な業者の参加を避ける場合
・契約に係る予定額が少額である場合
指名競争入札においても、一般競争入札と同様に価格または総合評価での落札となります。
▶公募型指名競争入札
「公募型指名競争入札」の場合は、広く案件が公示され、参加希望者のなかから入札に参加する業者が指名されます。
参加を希望する業者は、参加希望書とともに、発注機関が求める技術提案書等の提出が必要となります。
3.随意契約
▶随意契約
随意契約とは、競争をおこなわず、発注機関が任意の業者を選定して契約を締結する契約方式です。
公的機関の契約は競争入札が原則であり、例外的な場合におこなわれるのが随意契約となります。
随意契約の場合は契約の締結、履行までに時間がかからないことから災害など緊急時にも適用されます。
また、予定価格が少額である場合も、随意契約が交わされる事があります。
以下の価格を超えない契約の場合は、随意契約が可能とされ、公表も不要とされています。
▶オープンカウンタ
「オープンカウンタ」は、随意契約を前提とした見積り合わせをおこなう方式です。
あらかじめ調達案件の概要等を公示し、見積りへの参加を希望する事業者による見積りをおこない、そのなかで最低金額を提示した業者と契約を締結します。
「物品の調達」「印刷物の発注」など、予定予算額が低い案件に多くみられ、公示日から応札までの期間が短い入札方式となっています。
▶企画競争入札
「企画競争入札」は、発注機関が提示する予算額の範囲内において、不特定多数の業者から企画提案や技術提案を提出させ、総合的な評価により契約する方式です。
一見、競争入札の一種のようにも感じられますが、随意契約の交渉相手を選定するための予備的手続きとされています。
企画競争入札には「プロポーザル方式」と「コンペ方式」があります。
・プロポーザル方式…事業者や担当者の技術力や実績、方針を評価
・コンペ方式…具体的な企画を提出させ、その内容を評価
コンペ形式の場合は企画そのものを評価されるため、実績の少ない企業も参加しやすいように思えます。しかし応募準備に多くの時間がとられる方式であるため、注意も必要です。
いかがだったでしょうか。
入札案件を探す際には、業種や内容と併せて、
ぜひ入札方式にも注目してみてください。